社会福祉法人に相続財産を寄付した場合の非課税規定(措置法70条)とは?

社会福祉法人に相続財産を寄付した場合の非課税規定(措置法70条)とは?

社会福祉法人に関係する優遇税制はたくさんありますが、よく質問される論点として、社会福祉法人に土地を寄付した場合の課税関係があります。

寄付をした場合は、租税特別措置法40に根拠があることから「措置法40条」などと言われることがあります。これは、みなし譲渡益を非課税にできる規定ですので、所得税の優遇規定です。

一方、相続人が相続財産を相続税の申告期限までに社会福祉法人寄附した場合、寄附した財産は相続税の非課税対象となり、租税特別措置法の70条に根拠があることから、「措置法70条の非課税」などと呼ばれることがあります。この規定は相続財産を非課税にできる規定ですので、相続税の優遇規定です。

今回は、後半の「措置法70条の非課税の特例」について説明します。

相続税と納税資金

我が国には、相続税があります。外国には相続税がない国もたくさんありますし、国内では所得税が課税された財産にもう一度課税するのは二重課税ではないかという批判もあります。一方、相続税だけをなくしてしまうと、より一層の貧富の差が広がり、富の再配分という観点からも相続税が必要だという意見もあります。

一般的に相続税は、非課税枠が大きいことから多くの国民にとっては無関係であるかもしれませんが、現在は6億円を超える相続財産の税率は55%ですので、多額の資産を所有する資産家にとっては深刻な問題でもあります。もし、相続財産のほとんどが不動産であった場合、55%の税金を数か月の期間で納税するのは容易でないことはすぐに分かります。相続のタイミングを計画することはできませんし、不動産を処分するのは容易ではありませんので、相続税を納付するために、借金をしたり、物納したりするの気の毒な気もします。

相続税を非課税にできる規定

このような時に、社会福祉法人に相続財産である不動産を寄附して相続税を減らせるなら、検討してみる価値がありそうです。納税資金が無いために国に物納しても誰かに直接感謝されたり地域に恩返しすることは難しいですが社会福祉法人への寄附ならその可能性があるためです。

普通に考えると、相続時に相続税が課され、もし、納税資金を捻出するために売却すると、売却時の譲渡益に所得税が課税される可能性がありますので、その両方をなくすことができるなら、納税資金を用意しなくてよいということになりますので、検討してみる価値はあるでしょう。

引用:国税庁ホームページ

〔措置法第70条第1項《国等に対して相続財産を贈与した場合の相続税の非課税等》関係〕|国税庁

想定可能なメリット

(1)相続人の寄付により、相続財産の相続税を非課税にできるかもしれない。

(2)自分が望む社会福祉事業に相続財産を活用してもらうことができるかもしれない。

(3)寄附してしまうので土地の売却益に対して課税されることがなくなるかもしれない。

(4)被相続人の遺言で寄附をする必要がある場合、相続税は発生しないが、みなし譲渡益を別規定(措置法40条)で所得税も非課税にできるかもしれない。

(5)寄附を行った年度の所得税の寄附金控除を限度額の範囲内で受けられるかもしれない。

(6)寄附した後は、今まで払っていた固定資産税は払わなくてよくなるかもしれない。

適用を受けるためには、たくさんの要件がありますし申告が必要ですが、メリットを繋げてみて、結果的に納税資金を用意する必要もなく、所得税や固定資産税も少なくできるなら、検討してみる価値があると言ってよいでしょう。

まとめ

我が国には相続税があり、比較的税率が高いため、もし不動産を中心に相続してしまうと納税資金を用意するのが大変で、納税のために売却、借入、物納を検討するしかないというケースがあります。

社会福祉法人に不動産である相続財産を寄付すると、相続税が非課税にできたり、納税資金を減らせる可能性があります。

例えば、地元が高齢化が進んでいるが、特別養護老人ホームがなく、高齢者の受け入れ施設が不足しているため、相続財産である土地を寄付することで社会福祉法人を誘致して高齢者施設を建設してもらうことができれば、相続税の非課税規定を使いながら、地元にも貢献できますので、一石二鳥の有効活用ができると思います。

寄附の契約に使途を明記することもできますし、寄附を受けた社会福祉法人は、寄附があった日から2年を経過する日までの期間内に、その寄附財産を公益目的事業の用に直接供する必要がありますので、事前に合意する必要があります。

当事務所は社会福祉法人専門の会計事務所ですので、相続税の申告は引き受けておりませんが、寄付を受け入れる社会福祉法人を探したいですとか、この規定を使って相続ができる税理士を探して欲しいといったお手伝いはできますので、お気軽にご相談下さい。

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