社会福祉法人専門の税理士が必要な5つの理由をご紹介
税理士ならばどの税理士に依頼しても一緒ではないか?そのように考えてしまうのが一般的です。しかし社会福祉法人は別です。今回は社会福祉法人専門の税理士が必要な5つの理由をご紹介いたします。
目次
何故、社会福祉法人専門の税理士が必要なのか?
社会福祉法人は一般論として、「非課税なので税理士は関与する必要がない。」と思われがちです。確かに税理士の関与のない社会福祉法人は多数存在します。ただ、関与した方が良い場合もありますので、今回はその5つの理由をご紹介します
1.社会福祉法人会計の知識のある人が少ない
簿記と言えば、世の中で一番といって良いほどに一般的なスキルで、知っている方もたくさんいますが、社会福祉法人会計は一般の企業会計とルールが全く違います。
一般的な簿記の知識では、社会福祉法人に限っては太刀打ちできません。もし、法人内に知識のある方がいない場合は、税理士の力を借りるのが賢明です。
しかも、社会福祉法人会計の知識を身に着けるのはとても難しく、実務経験者が少ないという実態があります。
2.所轄官庁の指導検査がやたらに厳しい
公費をもらっている社会福祉法人は、もらった公費を適正に使用しているか行政検査が頻繁にあります。通常は、保育・介護などの現場、設備などの運営、お金周りの会計の3班に分かれて細かくチエックされます。事前準備だけでなく、指摘された事を改善するためにも専門の税理士の力を借りたいところです。
また、一般的に、施設長は保育士や介護士などの現場の出身の方が多く、会計が得意な方はほとんどいません。日頃からお金の使い方や賢い経理のやり方など税理士の力を借りるのが賢明です。
3.会計監査人の法定監査を受けなければならない法人がある
例えば、収益が30億円を超えるなど大規模な法人は特定社会福祉法人といわれ、監査法人などによる法定監査を受けなければなりません。まるで上場企業のような厳しい点検を受けることになります。
このような法人は、できれば税理士登録をしている公認会計士の力を借りて運用面で監査工数を下げる努力をするべきです。監査報酬の平均単価は安くありませんし、努力すれば工数は下がるためです。
4.国税や地方税のルールが特殊過ぎる
社会福祉法人でも所得税の源泉以外に消費税や法人税などの国税の申告をしている法人はあります。地方税も、非課税申告を含めるとほとんどの法人は申告をしています。
消費税や法人税は社会福祉法人独特の論点がありますが、かなり特殊です。消費税や法人税の納付額が高い法人は、法人税や消費税の知識のある税理士の力を借りて節税や余計な税金を払わなくて済む努力をすべきです。
税金のリスクは2つあり、「払うべき税金を払わないリスク」と「払わなくてよい税金を払うリスク」です。税金には対価性がなく、払わなくて良い税金は払わない方が賢明です。
5.法令や行政通知が事業の種別ごとに存在している
社会福祉法人が社会福祉法や民法・税法など一般的な法律だけに従っていればよいならそんなに分かりにくいことはないのですが、児童福祉法・こども子育て支援法・介護保険法・障害者総合支援法など行う事業ごとにも法令と行政通知があり内容も特殊です。
指定管理等で自治体と委託契約を締結している場合は、さらに各々の契約内容を順守する必要があります。会計報告も社会福祉法とは別に求められることがあります。
ルールが多すぎてどのルールに従わなければならないのか混乱している社会福祉法人も多いと思います。税理士の力を借りて、適正な意思決定を行い業務の効率を上げないと実務が大変なことになりがちです。
まとめ
「自計化」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。会計や税務の業務を会計事務所に任せずに自社内で行うことです。一流の税理士は、クライアントをほとんどの業務で税理士不要に誘導すると言います。
一方、「餅は餅屋」や「安物買いの銭失い」という言葉もあります。
プロの力を借りることで、払う報酬以上にコストが下がったり、劇的に業務効率が上がったりすることもあります。
法令は知らないと恩恵を受けられないという側面があります。損をしたくなければ、「税理士ならば誰でも良い」という姿勢でなく、「自法人に合った社会福祉法人専門の税理士を探す必要がある」ということをご理解頂けると幸いです。